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売却予定の不動産を担保に資金を借りられる?仕組みを解説


お金を借りたいと考えるときに担保が必要となる場合があります。担保として提供する資産として代表的なものは不動産です。
しかし、売却予定の不動産を担保にお金を借りることができるのでしょうか。当記事では不動産担保の仕組みや売却予定の不動産担保について解説します。

1.不動産担保とは

まずは不動産担保の基本的な仕組みについて解説します。担保とは融資を受けた人がお金を返せなくなった際にお金を貸した金融機関等が担保を売却して貸した資金を回収することができる仕組みです。
不動産は資産価値が高く価格の変動も大きくないため担保として提供される代表的な資産です。しかし、どんな不動産でも担保として提供できるわけではありません。
金融機関は融資をする際に不動産の価値を見極めてから担保として設定します。
金融機関は万が一お金を返してもらえなくなった際に不動産を売却して損失を補填します。そのため、不動産を売却することができなければ、担保として提供をうけても意味がないのです。不動産の売却価値が高ければ高いほど担保価値が高く、大きな金額の融資を受けることが可能です。

2.不動産売却を前提にローンが借りられる

不動産担保ローンは不動産を担保として提供し、お金を借りる方法です。実は不動産は売却することを前提としてお金を借りることも可能です。
不動産を売却することを前提にローンを契約することを不動産売却前提ローンといいます。
不動産売却前提ローンは一時的な資金をつなぐためのいわゆる「つなぎ融資」として活用されます。

3.不動産売却前提ローンのメリット

不動産売却ローンにはどのようなメリットがあるのでしょうか。不動産売却前提ローンのメリットを確認してみましょう。

(1)まとまった金額を借りることができる

不動産売却前提ローンはまとまった金額を借りることができるという点が大きなメリットとなります。不動産を売却することで資金を得ることができますが、不動産を売却するためには購入希望者を探し、価格交渉、契約書作成など時間がかかります。
しかし、不動産売却前提ローンをつなぎ融資として活用することで、売却するよりも早くまとまった資金を一度に手にすることができます。

(2)時間的に余裕を持って売却できる

不動産は全く同じものは二つとない資産です。資産価値が高い不動産でも売却するまでに時間がかかることもあります。また、不動産は時期によって高く売れることがあります。
一般的に不動産が高く売れる時期は2月~3月です。不動産は新生活が始まる前に購入したいと考える人が多く、新年度が始まる4月を迎える前の2~3月が不動産の成約が多い時期です。
資金が必要な場合でも不動産売却前提ローンをつなぎ融資として活用することで時間的な余裕が生まれます。時間的な余裕が生まれることで、売り急ぐことなく不動産を売却することが可能です。

4.不動産売却前提ローンのデメリット

不動産売却前提ローンにはどのようなデメリットがあるのでしょうか。具体的にデメリットを確認しておきましょう。

(1)金利負担がある

不動産売却前提ローンは不動産が売却できるまでの一定期間お金を借りることになります。
そのため、お金を借りている間は当然金利負担があります。金利負担は不動産売却前提ローンを利用せずに、不動産を売却して資金調達した際にはかからない負担です。
また、不動産売却前提ローンを契約する際には金利負担だけでなく契約時の手数料もかかります。不動産売却前提ローンはつなぎ融資としてのメリットが大きいものの、金利負担や手数料負担など費用面での負担があるということは理解しておきましょう。

(2)売却価格が伸びない可能性がある

不動産売却前提ローンを利用することで時間的な余裕が生まれるため、焦って売却する必要はありません。そのため、ある程度強気の価格設定で売りに出すことができるでしょう。
しかし、不動産は必ずしも希望価格で売れるとは限りません。資産価値が高い不動産でも、偶然その時期に購入希望者がいなければ高値で売却することはできません。
不動産売却前提ローンを活用することで時間的に余裕を持つことはできますが、必ず高値で売れるわけではないということは注意が必要です。

5.不動産売却前提ローンの活用例

不動産売却前提ローンはどのように活用されているのでしょうか。活用例を確認しておきましょう。

(1)住み替え

住宅を購入する際は通常住宅ローンを契約します。不動産を売却して住宅ローンを返済し、新たに不動産を購入する際に住宅ローンを契約し直すことができればよいのですが、現在住んでいる家を売却してしまうと次の家を購入するまで、一時的に住む場所が無くなってしまいます。
このようなケースでは不動産売却前提ローンを契約して、新しい家を購入し、不動産を売却した資金で、不動産売却前提ローンを返済、新たに住宅ローンを契約し、前の家の住宅ローンを返済することで一時的に住むことがなくなると言う事態を防ぐことができます。
不動産売却前提ローンを活用することで、一時的な資金不足を解消するつなぎ融資となるのです。

(2)相続税の支払い

相続税とは人が亡くなった時に財産を相続する相続人が支払う義務がある税金です。相続財産に不動産が多い場合、不動産を売却しなければ相続税が支払えないこともあります。
相続税の支払いは相続が発生した時から10ヶ月以内と非常にタイトなスケジュールとなっているため、納税までに不動産を売却して現金化することは難しいものです。
このようなケースでも不動産売却前提ローンで問題解決することが可能です。
不動産売却前提ローンで融資を受けて、相続税を支払い、その後時間的に余裕を持って不動産を売却し、ローンを返済することができます。

(3)事業を廃業する場合

不動産売却前提ローンは事業を廃業して借入金の返済を行う時にも利用することができます。事業で行った借入金を手持ち資金で返却ができない場合は事業用の土地を売却し、借入金を返済することがあります。
特に自宅兼事業用不動産となっており売却する場合は次に住む場所を決めるまでの時間が必要となります。
不動産を売却する前に不動産売却前提ローンを活用することで、先に借入金を返済してから不動産を売却することができますので、次の住宅を探す時間的な余裕が生まれます。

6.まとめ

担保とはお金を返すことが出来なくなった際に、金融機関が損失を補填するために設定するものです。不動産は資産価値が高く売却しやすいため、担保として価値が高く担保提供される代表的な資産です。
不動産を売却する前提で担保としてローンを契約するのが、不動産売却前提ローンです。
不動産売却前提ローンとは不動産を売却するまでのつなぎ融資として活用されます。不動産を売却するには時間がかかりますが、不動産売却前提ローンを活用することで、時間的な余裕が生まれます。
不動産売却前提ローンでつなぎ融資を行うことで、自宅の住み替え、相続税の支払い、事業を廃業した際などに活用することが可能です。
しかし、不動産売却前提ローンには金利や手数料が発生するなどデメリットもあります。不動産売却前提ローンを利用する際にはデメリットもしっかり認識したうえで計画的に検討しましょう。

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この記事を書いた人

コラム(お役立ち情報)編集部

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ファイナンスや不動産業での知識と経験豊富なスタッフ(貸金業務取扱主任者や宅地建物取引士の有資格者)が中心となり、公認会計士事務所・弁護士法人・司法書士法人等の専門職の方からの意見やアドバイスを取り入れ、日々、執筆と監修を行っております。