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アメリカの住宅市場に回復の兆し

 

アメリカの2020年6月の中古住宅販売件数が、新型コロナウイルスの感染が拡大する前の、2020年3月の水準に戻ったようだ。在宅勤務に伴い、都心から郊外への引越し需要や住宅ローン金利の低下が後押ししている。ただ、感染拡大で本格的な需要回復はまだ見通せない状況にある。住宅投資は個人消費の中でも比較的多額の資金が必要で、関連した消費も盛り上がる。金利や建築コストの安定や景気対策などによって左右され、他の経済活動よりも先行する傾向がある。

「物件を見たい人が急に増えた」と不動産を仲介する業者は、2020年6月から多忙になった。顧客で目立つのは、ニューヨークの都市部から郊外への脱出組で、外出制限で内見が出来なかったこともあり、アメリカの住宅販売は4月~5月に一気に冷え込んだ。市場の90%を占める中古住宅販売は391万戸と9年半ぶりの低水準に落ち込んだ。ところが6月に入って需要が急激に回復した。7月下旬発表の6月の中古住宅販売件数は、前月比20.7%増の472万戸と、コロナの影響が出る前の3月(527万戸)以来の水準に近づいた。新型コロナの影響で在宅勤務が多くなり、通勤に便利な都市部よりも比較的価格が安く、広めの郊外物件の需要が高まっていることが原因となっている。