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不動産の2019年問題と2022年問題とは

書籍やインターネット上で、「○年に不動産が暴落」などの記事を見かけることがあります。
その中でも、まとしやかに主張されているのが、2019年問題と2022年問題ではないでしょうか。
この2つの年には、なぜ不動産が暴落するといわれているのでしょうか。

2019年問題

2013年1月に国立社会保障・人口問題研究所が推計した日本の世帯数の将来推計によると、世帯総数は2019年をピークに減少に転じるとされていました。

世帯数が減少に転じることで、住宅が供給過剰状態に陥り価格が暴落するというのが大きな理由なのです。

しかし、2018年1月の推計では、世帯総数増加のピークは2023年まで延びるという結果が出ました。

世帯数減少を理由とした2019年問題はすでに回避されてしまったので、ここでは新たに世帯数ピークとされた2023年に暴落があるかを考えてみたいと思います。

実際には、総世帯数が減少しても、すぐに不動産が暴落するとは考えにくいといえます。

なぜなら、2023年以降も人口が増え続けると推測されている地域がたくさんあるからです。

国立社会保障・人口問題研究所の人口推計によると、全都道府県の人口が減少に転じるのは前回の推計よりも延びて2030年となっています。

つまり、2030年までは人口が増え続ける地域があるということになります。

これは、近年の出生率が改善されたことや、人口移動の状況を反映した結果なのですが、人口増加が続く地域では住宅の需要も一定程度継続します。

そのため、人口流入が続いている地域(都市)については不動産の暴落は起こりにくいと考えられます。

しかし、人口が流出していく地域では住宅需要が減り続け、不動産価格も下落していくと考えられます。

 

2022年問題

1988年に農地法が改正され、生産緑地の指定が始まりました。

生産緑地の指定を受けた土地は、固定資産税などの税金の減免や相続税の納税を猶予する制度を使えます。

但し、生産緑地の指定を受けると30年間の営農義務を負い、その土地を他の用途に転用することはできません。

生産緑地の指定を受けた土地が2022年には30年目となり、その営農義務がなくなり、税金対策等で土地が一斉に売却され、アパートやマンションなどが建築されて、市場が供給過多になり、地価が暴落するというのが2022年問題です。

この問題についても、すぐに不動産の暴落にはつながりにくい理由があります。

2017年に生産緑地法の改正があり、生産緑地の指定から30年経過した土地は、新たに特定生産緑地の指定を受ければ、さらに10年延長することができるようになり、急激な増税は回避されました。

また、この生産緑地の指定を受けた農地の中には、相続税の納税を猶予する制度を利用している生産緑地もあり、相続税納税猶予制度を利用するための条件が、終身営農(三大都市圏の場合)なので、生産緑地の解除をする場合は、猶予されていた相続税を支払う必要がでてきます。

つまり、この制度を利用している生産緑地については、相続の発生などがないかぎり買い取り申出の対象外になると考えられるのです。

東京都に限っていえば、2022年に買い取り申出の対象となる農地は、生産緑地の指定を受けている農地の約41%で、買い取り申出をしたいのは、その中の8.2%なのです。

実際にどれだけの農地が買い取り申出されるかはその時期にならないとわかりませんが、2022年に供給過剰といわれるほど市場に土地があふれ出るとは考えにくいといえるでしょう。